あやうし!ドナルド! (本名 ロナルド・マクドナルド)
TV番組の「なんでも鑑定団」とかを見ていると、企業の商品キャラって人気あるんですよね。アメリカでは Trade Character とか言うんだっけな?日本でも、それ専門の販売業者がいるようです。
Pop-Up Toy
Kiarry's
RPM
日本にいるとあまりおなじみでないキャラとかがいて面白いんですが(ツナ缶のイルカ→イルカの愛護団体からクレームが来たとか言う記事を読んだ記憶も)、そうした古いグッズを集めたこの本がお気に入りだったりします。
| What a Character!: 20th Century American Advertising Icons | |
![]() | Warren Dotz Jim Morton John William Lund Chronicle Books 1996-06-01 売り上げランキング 465,620 Amazonで詳しく見る |
さて、少し前に、こうしたアメリカの企業キャラの人気投票が行われた様子です。結果はこんな感じ(Yahoo! presents AdWeek NYC)。
AMerica's Favorite Icons: Top 5
1. M & M Characters®
2. AFLAC Duck®
3. Mr. Peanut®
4. Pillsbury Doughboy®
5. Tony the Tiger®
粒チョコキャラに次いで、保険屋アヒルが人気とのこと。CNNも皮肉な調子で、このネタを取り上げています(22004.8.20 "Advertising builds character - Even failures take up brain space")。
And though I'm sure his ubiquity has improved the company's visibility, I don't know anyone who likes the Ditech Guy.
Lovable advertising characters may be a thing of the past. Looking over the Yahoo! list, the only creations I see from the 1990s or later are the AFLAC duck and the M&M Guys. The majority of them date from 1975 or earlier -- in some cases (Mr. Peanut, the Michelin Man, the Coppertone Girl) much earlier.
コカコーラの例等を挙げつつ、「キャラの人気が商品の成功に結びついていない」と書いているのですが、特に上に引用した部分では「過去のキャラに人気アリ」との現状を語っています。ちなみに皆の嫌われ者の "Ditech Guy" ってのはやたらにCM売っている胡散臭い金融関係(だったかな?)のCMに出てくるオッサンのこと。
前段の部分でコンテストの紹介を枕にしているんですが、
Recently, some of the most notable figures in popular culture gathered in New York to solicit votes.
They were not political candidates, athletes, movie stars or rock musicians.
Try advertising icons.
There they were, the creme de la creme of American (and a little European) creativity: Mr. Clean. Michelin Man. Mr. Peanut. Chiquita Banana. The Kool-Aid Pitcher (aka The Kool-Aid Guy or "Hey, Kool-Aid!"). Ronald McDonald. Green Giant. Tony the Tiger.
とまぁ有名キャラを羅列。そうここで気付くではありませんか。全世界で名の通ったアメリカ企業ブランド、マクドナルド。このキャラはやっぱりトップ5に残らない程度の人気なんですね。
![]()
日本のネット界隈ではいじられキャラとして特殊な人気を博しておりますが。ちなみに、日本名ドナルドも、本名 Ronald McDonald なので、実際はロナルドの方が正確なわけです。同じような例では、日本リーバの柔軟材白クマ・キャラの「ファーファ」。日本リーバのホームページによると、
テディベアのキャラクターでおなじみの柔軟仕上剤「ファーファ」。タオルや肌着にも安心の、肌にやさしい成分配合で、心地よいふわふわな仕上がりが魅力です。親しみやすく、柔らかな語感の名前は、日本オリジナル。白いテディは同じでも、アメリカでは「スナグル」、台湾では「バウバウ」、ブラジルでは「フォフォ」と呼ばれています。日本では、1986年に発売されました。
とのことで、アメリカ他海の向こうではもともと"Snuggle"って名前(商品名と同じ)なんです。しかし、台湾の「バウバウ」ってのは......
さて、話を戻して、ロナルド・マクドナルド。CNNの記事にもあったように、キャラの知名度と広告による知名度向上が一致していない例の一つのような気もしますが、最近のニュース(オリコン、Yahoo!発信「女子高生にウケた日本マクドナルド新CM」)によると
また、女子高生から高い支持を集めたのが日本マクドナルド「トマトマックグラン」の2篇。このところ「マックシェイク」などでコミカルなテイストを打ち出してきたマクドナルドが、ファッショナブルな手法でインパクトを与えることに成功した作品だ。(中略) マックグランの高級感を外国人モデルの洗練された雰囲気を通して表してもいるのだろうが、商品のイメージに合わせて、硬軟織り交ぜるアプローチは、店舗のバラエティ性も高め、何が待っているか分からないワクワク感をユーザーに与えるはず。ポッキー同様、こちらも見事と言えるだろう。(この調査は、10月28日~11月2日まで、女子高校生300人、男子高校生300人、計600人にインターネットで調査したもの)。
ドナルドのキャラをモデル風に演じたCMを指しているんですが、日本では好感度が高いってことでしょうか?どちらかと言えば、個人的には、あのCMを除いた最近のマックCMは日米折衷の感覚の何だかウザいトーンが気になるんですがね。
昔、深夜のランキング番組で、女子高校生他中心の聞き取り調査の結果、「一番おいしいハンバーガーといえば?→1位マクドナルド」となっているのを見て少し脱力しましたが、流行の音楽と一緒で、最も近くに手に届くようなものが結局「好き」ってなるんでしょうか。調査元がオリコンってのも何か象徴的です。でも確かにこうやって見るとおいしそう。
「ハンバーガー大好き!」さん (マクドナルドのエントリー)
でも、人気があったとされるのはモデル化したドナルド君。つまり、元キャラとのギャップが受けたようでもあるので、好感度の高かったCMと大きく異なる元の方は、やっぱりちょっと人気者ではないのでしょう。上のオリコン記事をもう一回眺めてみますか。
「キャラクターを人間で表現していて本当にインパクトがあったし、おしゃれだと思うから」(神奈川県 16歳女性)
「今までのCMとはちょっと違う感じで、オシャレでよかったから」(神奈川県 16歳女性)。
どうやら、ドナルド氏は人間ではないらしいです。
確かに、ネット上のドナルド人気というのは、あれだけ著名なキャラクターでありながら、何か可愛げのない不気味さがあるところに発しているようで、「ドナルド、怖い」ってところにポイントがある様子です。
小鳥さん 「ドナルドの等身大フィギュア」
KAIZUKA-DO FREE SOULさん 「最強キャラ」
小鳥さんの付けた画像コメント ドナルド:「ふぅ、なんかいいことねえかなあ」 に当時大爆笑でしたが、「あれだけメジャーなキャラなのに何だよソレ」ってのが皆心に抱く感想なのでしょう。ちなみにイギリスのマクドナルドでは、どうやら新たに子供向け別キャラを投入したようです。
Yum-Chums
一応、with 愉快な仲間達といった感じで、ドナルド殿も健在ではあるようなんですが...... しかし、新キャラも微妙だぜ。
ドナルドの怖さというのはイコール、ピエロの怖さでもあるわけだけど、先の「最強キャラ」にもある通り、人間であるようなのに何を考えているのか分らない不気味さ、外見と内面が明らかに異なりそうな二面性の部分にあるかと。ホラー映画のキャラが「13日の金曜日」「テキサス・チェインソー」等々、仮面を被っているように、表情から感情が読み取れないことというのが異常性とリンクして怖さにつながるのだと。能面メイクというのは仮面よりも更に人間もどき寄りに近くなるので不気味さも倍増というところでしょうか。
そういったピエロの本質的な部分を扱った作品というのも、古くはオペラの名作「道化師」(愛憎劇の中、錯乱したピエロ役がナイフで2人を刺殺する)、S.キングのホラー「IT」(姿を変えて現れる得体の知れない化け物がよくピエロの姿で現れる)等あるし、「キラークラウン」とかいうB級ホラー映画もあった気が。
加えて、実在の殺人鬼ジョン・ゲーシーが地域の慈善活動でよくピエロの格好をしていたというエピソードは、上の「IT」等のホラー映画にインスピレーションとして反映されているようです。確かに、少し前にベストセラーになった「FBI心理分析官」に載っている、ゲーシーが獄中から送った自筆のピエロの絵葉書というのはかなり不気味な印象。
![]() | FBI心理分析官―異常殺人者たちの素顔に迫る衝撃の手記 ロバート・K. レスラー トム シャットマン Robert K. Ressler Tom Shachtman 相原 真理子 早川書房 2000-12 売り上げランキング 25,098 おすすめ平均 ![]() Amazonで詳しく見る |
Opus One -鯖ニュース- さんのエントリーで初めて知りましたが、「道化恐怖症(coulrophobia)」ってのがあるらしいですね。ウェブ上の辞書で調べると、道化師の語源は古くギリシアまでさかのぼれるようなので、恐怖症自体も古くからある話なんでしょうか。調べてみると面白そうです。
X51.Org さん 「笑顔か、あるいは狂気か - 道化恐怖症とは」
他には、あの黄色と赤と白の異様な色の組み合わせのインパクトも、ドナルドの不気味さに色を添えているのでは。元々、マクドナルドの企業カラーであるこの色の組み合わせ自体、「客に不快感を与えて回転率を上げようとする企み」とされていて、マクドナルドにまつわる都市伝説としては欧米で「ミミズバーガー」と並ぶくらい古典的なもののようです。
Wikipedia "McDonald's urban legends"
大抵、シェル石油等の例を挙げて、「目立つ色として採用する企業は少なくない」と反論されるのですが、感覚的に「普通じゃない色彩」という印象を与えているということになるんですね。
次のように都市伝説のようで本当にあったらしい話もあったりして...
Quad-City Times 2004.9.15
"Camanche road sprouts Ronald McDonald dolls"
翻訳版: Tokyo Fuku-Blog さん
「恐怖!! 深夜道路上に500体のドナルド人形が…」
この不気味さもキャラの負の魅力あってですかね。
個人的にも子供の頃TV CMに現れるドナルドを見て、「何だ、この気色の悪いのは?」と思ったわけですが、商品との関連性や好感度を与える愛らしさといったキャラ設定の背景が見えてこないのも、不気味さの理由の一つではないかと思うわけです。
マクドナルドのサイト「ドナルド・ルーム」には子供用の絵本「ドナルドをさがして」というのがあって、正体不明のドナルドを追いかけるストーリーなんですが、主人公が毎回会った人に尋ねます。
ねえねえ、ドナルドって、どんなヤツ?
結局、ドナルドはスーパーマンのように万能でどんな人にいい影響を与えて去っていくというお話なんですが、扱い方に何となく得体の知れないキャラの感じが出ている気がします。個人的には以下のパートに苦笑しました。
つぎに出会ったのは、小さな赤ちゃんを抱いたお母さん。
「彼はきっと、笑顔の魔法使いね。彼の笑顔には不思議なパワーがあるの。いつもちっとも泣き止まないうちの子も一目見たとたんにたちまち笑顔。つられて私まで、ほらね・・・・・・・・・」
絶対、泣くって。負のパワーでしょ。
無駄話はさておき、企業自体に結構紆余曲折な歴史を持っているマクドナルド、キャラ自体も面白い経歴を持っているんです。
McDonald's, McDonaldland, and McDonaldization
要は最初に販促用に演じていたローカルなピエロキャラが徐々に、ロナルド・マクドナルドというキャラに置き換わっていったんですよね。しかし、他のキャラ達の由来も面白いです。
グリマス
シェークを模した、元々悪玉キャラ。昔は手が8本。(証拠映像)
ビッグマック・ポリス
世界で使用停止。「マクドナルド・ランド」には悪い奴はいないからとか、「警察官のイメージが悪い」とか。(関係サイト)
ということ。笑えるパロディながら、ここでのキャラの出身地は本当の出自とは関係ありません。
機械手帳さん 「スティール・ボールラン 記者会見」
ところで、最初の英語サイトに戻ると、実は面白いところに気付きます。
A Brief History of Ronald and his Battle with Speedee the Clown by David Boje 2004
そう、ドナルドが世界を支配する前には、別キャラがいたんですよね。その名も "Speedee"。カリフォルニアのマクドナルド兄弟の店がそのスピードで人気を博したことから、フランチャイズを持ち替けた創業者により全米へチェーンが広がって大成功、現在の礎となったというマクドナルド本体の歴史を思うと、意味深なキャラ名です。外見的には微妙なんですが。
このキャラ、冒頭に紹介した "What A Caharcter" という本でも取り上げられていて、ハンバーガーに目のついた60年代の "McDonaldland Hamburger" というキャラと一緒に載っています。 "McDonaldland Hamburger" の方が何だかキャラっぽくて可愛いんですが。何となく、今は亡き Sheriff Big Mac の先祖ってな感じもします。
上の記事"Brief History ~"にある通り、この大元祖キャラのスピーディーが Wal-mart と組んでのして来ているとか。その内、ドナルドの時代も終わってしまうかと思うとほんのわずかだけ寂しい気もしますね。
ちなみに記事にはこんな情報も。
Ronald is still being strategically re-fashioned. In 1998, McDonald’s ad agency, Leo Burnett, hired LA stylists to refashion Ronald’s hair and spent months studying whether to increase the width of the red stripes on his socks (Hume, 1998; Leung & Vranica, 2003).
「ドナルドの靴下の縞の幅を変えるか数ヶ月検討」って、ほんとかよ?という気もしますが、そんなことより先にキャラ自体を変えてしまえということなのでしょうかね。












Recent Comments