2004.11.17

境界線の美学

 昔から異常と正常の境めというのに興味があって、意外と境界線ってのは近くにあるものような気がするわけで。暗がりの部分っていうのは、すぐそこに地つながりにあるのではないかと。
 
 風野さんの読冊日記エントリー「ルイス・ウェインの猫」(画家の統合失調症の進行の様子が作品として残っていったケース)で感銘を受けたら、少し前に読んだ本を思い出した。
 
 
   岩井 寛 「境界線の美学」 造形社 (1977)
 
 
 残念ながら、造形社という本屋自体存在しないような感じもあるので(ネット上でヒットするのが、バイクいじり系の同名別会社)、もう廃刊かな。古書としては手に入るようだ。この本が、ムンクやルドン等々の独特な作風を持つ画家達と実際に診察した精神的な病の患者らの絵を並べて、異常と正常の境界線を探った本。図版が豊富で印象に残るものが多かったけれど、以下の絵が特にインパクト大。(p.200 「不安の表現」から)

 
     boundaries.jpg
 
 
 先の患者の不安と葛藤が知覚に投影されている様子を映し出した絵(本人の思う自分の姿)とのことだけど、人間のゴーストってものの存在について考えさせられる。「生の苦しみ」に皆どうやって対応していっているのかとか。
 
 
 
【参考までに】
 

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岩井 寛

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2004.02.26

ガウディに逢える街

【過去のTB元】 [最近読んだ本003:ガウディ GAトラベラー (008)] 
 
 自分なりに書くことをいろいろ用意しているつもりではあるが、他所様のブログを徘徊していると何だか別に書きたいことを思い付いたりする。大抵、大した話ではないのだが、個人的に長文化著しい昨今、コメント欄には鬱陶しいかなと思うことが多いので、自分のエントリーで書くことになる。おかげで、どんどん話が溜まって古くなっていったりするのだが。
 
 さて、そんな話を尻目に、懲りずにトラックバック。「自分史上もっとも偉大なアルバムベスト50」というネタでお世話になったbassmanさんによるガウディの写真集の書評が元エントリー。
 
 自分の親の世代はエンジニアと言えば重厚長大系。どうやら親戚を眺めていると理系家系のようなのだが、時代的に圧倒的に土木・建築系が花形。進路選択の時に「土木はいいぞ」等々リコメンドいただいたのだが、親の通った道など歩むかい!という性格なので、今ではしがない機械屋さん。でも、建築の世界には漠然とした憧れがあったりもする。専門知識など無いので、超有名どころの建築家しか知らなかったりするわけだが、その内の一人がガウディ。
 
 ガウディとの出会いといえば、小学生の頃のサントリーのテレビCM。古く開高健等の名を挙げるまでも無く、サントリーの広告というのはセンスの良さと金をかけていることで有名なのだが、小学生の頃も全盛期。ビールのペンギンとか話題になったねぇ......とノスタルジーに浸るのは後にして、イメージ広告のシリーズが当時あっていて、昔の有名な芸術家達と映像を組み合わせたシリーズをCMで放映していた。第一弾が詩人のランボー、次がガウディ、その後が作曲家のマーラーだったかな。マーラーの回で使った「大地の唄」の人気が出たりしていたので、それなりに話題になっていたのだと思う。
 
 何故そんなに覚えているか?最初の2回がなかなかシュールな映像で、結構子供心にインパクトがあったからだろうか。ランボーの回は砂漠を背景に旅下芸人の一座をアップ、ガウディの回では彼の建築からイメージされたのだろう百目みたいな感じのお化け達が建築の間にヒョコヒョコ現れる感じ。小学生の頃、家に強盗が入ったことがあって、居直りでお袋が縛りあげられて監禁された所へ弟が帰宅。警察が押し寄せた頃には、気付いた犯人は裏から逃走した後だったのだが、取調べやら何やらで夜まで大騒ぎになった。親も取調べで長い間警察署へ行っている上、家は指紋の採取等々で中に入れない。仕方なく隣の老夫婦の家に夜遅くまでお世話になったりしたのだが、そんな不安な状態でテレビを見ていると、初めて目にしたのが件のガウディのCMだったので、何か強烈なインパクトがあったのだ。
 
 その頃はまだ「なるほど・ザ・ワールド」「世界まるごとハウマッチ」みたいな番組の人気で分かる通り、今に比べれば日本からの世界はまだ遠かった。スペインという国も遠いイメージの世界の中にあり、図書館でガウディの写真集を借りて眺めているしかなかったので、将来、実物を眺めてやろうと思ったりして。今やこうしてアメリカなんぞで暮らしているので世界は近くなったのだろうし、自分でも昔だったら想像もできなかったなぁ、と感慨にふけってしまう。
 
 学校を卒業する頃から海外旅行に行くようになってきて、社会人になってから数年経った夏に、とうとうスペインに出かけることになった。当然、ガウディの作品めぐりをしてきたのだが、ガウディの他による建造物が点在するバルセロナはかなりお気に召した街でもある。マドリッドに行けばさらに有名な美術品が眺められたりもするのだが、もっと治安が悪い感じもあって、旅行時の天気の印象も手伝って何だか影があるような印象だった。バルセロナはオリンピック時に開発された小奇麗な新しい部分とガウディに代表されるような古い部分がマッチした、いい感じの街だった。生まれ育ちのおかげで、個人的にノッペリした平らな街が嫌いなので、街を見下ろす山があるというのも良かったし。
 
 と、まぁいろいろ思い出しつつ、当時撮ったガウディの建物の写真でもアップできればいいのだろうが、残念ながら日本に置いて来てしまったのでネットで少し調べてみた。
 
 画像資料が最も充実しているのはココかな。英語サイト(スペイン語のサイトもあったけれど、さすがにね)。

  参照サイト: Gaudí Central
 
 ざっと見た感じ、日本語サイトで写真がいい感じなのは、ココ。

  参照サイト: ガウディ・ファン倶楽部
 
 後はココかな。食い合わせがすごいですが。
 
  参照サイト: アンのカナダとガウディのスペイン
  
 ちょっと面白いのがココ。画像は少ないが、建築物の3Dモデルが眺められる様子。ただし、ソフトをダウンロードしなければならないようなので、自分は未トライ。

  参照サイト: Great Buildings On Line

 
 スペインに行って実物を見るならば、お勧めなのはこの辺りになる気がします。
 
 
1. サグラダ・ファミリア教会
 
 言わずもがな。バルセロナに行けば、誰もが見るのでは。意外と表や裏側で印象も変わる。ガウディの外面の装飾は他の作家達との共同作業でもあるので、そういったことがあるようだ。確か、漫画の「ギャラリー・フェイク」にもその話題を扱った回があった気がする。
 
2. グエル別邸
 
 街の中心から離れていて、わざわざ見に行く観光客も少ない様子。中に入れないが、門のドラゴンズ・ゲートが格好良すぎ。
 
3. グエル公園
  
 サグラダ・ファミリアの次に有名なのでは。特に階段のトカゲのオブジェ等々も有名。ここも結構歩くので、真夏の日差しで日射病になりかけた思い出が。
 
4. カサ・ミラ 
 
 ここは観光客用に公開されていて博物館等も併設されているので、街をぶらつきながら見に行くのが楽しかった。
 
5. カサ・バトリョ 
 
 カサ・ミラと並ぶガウディの代表作ながら、外から見るだけ。図面で見ると、内部の何とも言えない形の部屋区切りや廊下の形が面白いので残念。
 
6. グエル邸
 
 旧市街の中心の方にある、初期の名作。ここも一般公開されていないのだが、特に屋上の煙突等の造形が面白い。実は、向かいに老舗のホテルがあって、何だか運良く真正面の最上階が取れてしまったので、安ワインをあおりながらベランダより鑑賞できた。ということで、写真集等で興味のある方は向かいのホテルにトライすることをお勧め。しっかりいい部屋が取れるのだか、自信が無いですが。
 
 
 
【過去のコメント】
 
[502store] [2004/02/25 21:44] [ MyDoblog ]
はじめまして。502storeの502です。
アントニオ・ガウディ…502も幼い頃に「未だ完成をしない教会」サグラダ・ファミリアを見て、感動した覚えがあります。当時は「お金がなくて施工が頓挫した」と思っていましたが、ありゃ「寄付で建てるもの」だから今でもその寄付で施工が進んでいると知り、我ながらアホうだなぁ、と思いました。笑
大学でも勉強したことがありますが、講議のスライドで見たパルク・グエルの手張りタイルが生でみてみたい502です。
ああ、いつかいつか…の502でした。
 
[blue&gold02] [2004/02/26 11:58] [ MyDoblog ]
こちらこそ、はじめまして。
実物には実物ならではの感激がありました。バルセロナはいいところでしたので、是非、機会があったらどうぞ。建築関係を勉強されたのならば、尚更おもしろい見物かもしれませんね。

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