ジョークを読み解く
ブログを書き始めた昔、「世界一面白いジョーク」ほか、アメリカン・ジョークに関するエントリーをいくつか書いたんだけど、そこでもちょっとした訳のズレがあったりして面白かった。また、今回興味深いジョークがあったので、少し読み解いてみた。
ネタサイドさんの紹介している2ちゃんのスレッド「【究極】神のコピペのガイドライン【至高】 part5」から「決闘」というジョーク。日本語で読むと、こんな感じ。
国境をはさんで、仲の悪いアメリカ人とカナダ人が住んでいました。 ある日カナダ人が外に出てみると、自分のニワトリが、アメリカ人の家の庭で卵を産んでいます。
そこへちょうど出てきたアメリカ人は、卵を持ち去ろうとしました。
「待て!その卵はうちのニワトリが産んだんだからうちのものだ!」
「フン!うちの庭で産んだんだから卵はうちのものだ!」
らちがあかないので、カナダ人は提案しました。
「俺の国ではこういうとき、決闘をする。股間をけり上げて、早く立ち直った方が勝ちという決闘だ」
「いいだろう。それなら決着がつく。望むところだ!」
「じゃあまず俺から行くぞ」
カナダ人は一番重いブーツをはき、助走をつけてアメリカ人の股間を思いっきりけり上げます!
「うっ…、うう…」
くずれ落ちたアメリカ人はもだえ苦しみ、30分たってようやく起き上がりました。
「う…。じゃあ今度は俺の番だ!行くぞ!!」
するとカナダ人は、
「俺の負けだ。卵は持って行け」
マヌケなアメリカ人をずる賢いカナダ人がしてやったり、といったイソップの寓話的な展開が痛快で、ストーリー展開だけでも面白いうまさがある。でも、何か引っかかるモヤモヤした感じもあって、コメントでも「これは何かの例えですかね?」「分らないんですよ」とのやり取り。気になったので、原文を探してみた。
以下、"Jokepage"というサイトから原文らしい内容。
Joke of the week
There was once an American and a Canadian who lived next door to each other. The Canadian owned a hen and each morning would look in his garden and pick up one of his hen's eggs for breakfast.
One day he looked into his garden and saw that the hen had laid an egg in the American's garden. He was about to go next door when he saw the American pick up the egg. The Canadian ran up to the American
and told him that the egg belonged to him because he owned the hen.
The American disagreed because the egg was laid on his property.
They argued for a while until finally the Canadian said,
"In our family we normally solve disputes by the following actions: kick you in the balls and time how long it takes you to get back up, then you kick me in the balls and time how long it takes for me to get up, whomever gets up quicker wins the egg."
The American agreed to this and so the Canadian found his heaviest pair of boots and put them on, he took a few steps back, then ran toward the American and kicked as hard as he could in the balls. The American fell to the floor clutching his nuts howling in agony for 30 minutes. Eventually the American stood up and said,
"Now it's my turn to kick you."
The Canadian said,
"Keep the damn egg."
で、英語で最後まで読むと、日本語では不覚にも気付かなかったところに目が。 "balls" とか "nuts" とか前段でも言ってるけれど、形から想像できるように "egg" にも「睾丸」の意味がある。あんまり使わない気もするけれど、辞書サイトでもこんな感じ、
Words similar to egg: ball, ballock, bollock, egged, egging, eggless, eggy, gonad, nut, ovum, testicle, testis, bloke, chap, incite, roe, more...
ということで、最後がダブル・ミーニングの駄洒落になっているわけですな。ここら辺は昔の「世界一面白いジョーク」のパターンと同じで、日本語訳者が翻訳しきれなかった部分。強いて訳せば、こんな感じかな?
カナダ人はそこでこう言ったのさ、 「俺の負けさ。お前の卵を大事にな!」
アメ人は "ass" って言葉を出すだけでゲラゲラってなところがあるので、話の面白さの上にそうしたくだらない系のオチが載っているわけ。最後のフレーズも "damn" とのののしり言葉をあるので、大体それ系というのが分ったりもするから、日本語もちょっと汚い感じにしないとダメなんだろうってところ。でも、日本語の「卵」じゃ少々苦しいよなぁ...
自分はスペイン語は全然話せないけれど、どうやらスペイン語でも「卵」=ソレということらしい。アルゼンチンのスラング講座より
webear [weBe'ar] [vi] to surf the Web, especially for fun, in a relaxed manner, just checking it out. Humorous echo of the noun huevo ['weBo] 'egg', slang for 'testicle', which takes part in several derogatory expressions (see rascarse in the main dictionary).
ということで、世界に目を向けてみると面白い。今回の「決闘」ネタ、登場人物を各国に置き換えたバージョンがネット界のアチコチに。
Freelanzer.com → "Pakistanis"
Caribbean Jokes → "Boots: A Trini and a Guyanese"
FunMac Forums → "THE DAMNED EGG"
オチの部分以外でどうも引っかかっていた部分が、「アメリカ人」vs「カナダ人」の構図。カナダは芸能等の文化、産業的な部分でもほぼアメリカと同化している現状があるので(ケベック州のようなフランス語圏は少し異質)、激しい対立感情というのがあまり無い筈。どちらかといえば、「アメリカ合衆国カナダ州」みたいな自虐的な声がカナダ人から聞こえてくるような感じ。
というわけで、上の置き換え例を見た方が分りやすい。インド vs パキスタンとか、スコットランド vs イングランドとか。検索結果を見ると、スコットランド vs イングランドがオリジナルな感じがしますなぁ。
でも2番目のには、「ガイアナってどこよ?」って思わず突っ込みを入れてしまった。ちなみに、もう一国がトリニダードドゴバ。歴史的な背景がチンプンカンプンなので何が何やら分らん。しかし、最初の出現が今年の夏の辺り(もしかしたらもっと早いのかも)のようだから、ネット時代の伝播力はすごい。ジョークの伝播について調べてみたら、ちょっとした小論文が書けそうですぜ、どう?
以上の通り、隣国人どうしの反感が3番目のツボ。日本語の場合、「韓国人 vs 日本人」。いや最近だったら、「中国人 vs 日本人」に置き換えるべきかな。実際、そんなバージョンが出てきそうな気も少々。


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