2004年を振り返って思う:大統領選
年の変わりってのをあまり節目と感じない性格なんですが、たまには過去を振り返ってみましょうか。
今年も色々ありました 笑えるサイトで振り返る2004
元々、タイトルに偽りアリと感じる「笑えるサイト」なんだけど、上記の記事による2004年のトピックとは以下の通り。
・架空請求/「無視出来ない架空請求」を知る
・台風上陸数が10個と過去最多。台風23号では死者が80人を超えた
・負け犬ブーム/シングル1670人の「自由と不安」
・プロ野球再編問題/猿でもわかる選手会ストQ&A
・長崎県の小学校で、6年女児が同級生の首をカッターで切り殺害
・震度7も観測された新潟県中越地震。避難者は一時10万人を超えた
・年金問題/年金いつから、いくらもらえる?
・俳優の窪塚洋介が自宅マンション9階から転落し重傷。11月に復帰
「笑えるサイトで振り返る」って、「笑えない」話ばかりと思うわけだけど(かろうじて一番下のぐらいか)......それが災い続きだった2004年ってことなんだろう。代わりに少しは笑える動画にリンクしておこうか。
2004 Voting Machine
ここら辺の背景を踏まえているとより面白いけれど、逆に今度は笑えない人も多くなってしまうかもしれない。
暗いニュースリンクさん (01/08/2005)
「過去100年間で2度目:米上院・下院合同議会でブッシュ大統領再選に異議申し立て」
昨年は、約半分をアメリカで過ごし、半分を日本で過ごした少々特異な年であったので、2つの観察点から眺め社会現象には感銘を受けたこともある。やはり個人的に大統領選というのは2004年の一大トピックだった気が 。日本帰国後に出た選挙結果を受けて、ネット上で「メディアはケリー優勢って言っていて、そんな話聞いていなかった」というような意見を目にしたことがあるけれど、アメリカ国外と国内の温度差が激しかったのも、2箇所から見る視点の違いを意識させる部分だった。
実際接戦だった選挙戦。今回の選挙戦ではかつて無いほどに国内の意見も二分されたという話があって、自分が暮らしていたリベラル側の土地柄から眺める様相というのも興味深かった。そうした話ならば、この辺り。
Sorry Everybody
町山智浩(アメリカ日記)氏 「飛び越される州の逆襲」
日本のメディアも全体的に希望的観測で「ケリー有利」な話を取り上げていた感じを受けた。これは多少なりともアメリカのメディアにも言えたことだと思うけれど。町山氏同様、僕の住んでいたサンフランシスコ周辺のベイエリアと呼ばれる地域はアメリカの中ではかなりリベラルなお土地柄で、ほぼブッシュ嫌いの人間しかいないと考えていいような環境。確かに、シリコンバレーの経営者には結構共和党支持者もいるし、郊外から離れていくと民主党支持者ばかりとは言えないという部分はあるのだが。
ただし、そうした環境の中にいても、「ケリーでは勝てないんじゃないか?」という声をよく聞いたのも事実で、結局、何が選挙結果を決めたのかというのが、以下の特集を眺めていると興味深い。
Newsweek Election 2004 "How Bush Did It"
残念ながらサイト上の記事は紹介のみだけど、選挙後に記事にするとの約束で長期同行した記者達がまとめた1年間のドキュメントで、日本版でも11月17日号に掲載されている。この記事で興味深い点は幾つかある。まず、ブッシュ陣営のスタッフの老獪さで、ケリー陣営の脚をうまくすくい、選挙戦を有利に進めていく姿が描かれている点。対するケリー陣営は、終盤に民主党に歴史的な大勝をもたらしたクリントンとそのスタッフが乗り込んでくるまで、もたついている様子がありあり。
実際、ブッシュ側がうまく様々な票田を切り崩したのは結果からも明らかで、プロテスタントのブッシュ、カトリックのケリーという構図に対して、中絶・同姓婚禁止を打ち出してカトリック層を取り込み、教育・所得水準の高い層を狙ってヒスパニック層を取り込み(特に、@フロリダ・テキサス州)、本来民主党支持者が多かったアフリカン・アメリカン層や女性層もうまく取り込んで得票を伸ばしている(選挙戦1ヶ月前の「政治経済研究共同センター」の調査でも、アフリカン層のブッシュ支持率は4年間で9→18%に倍増)。
「保守化や宗教回帰が共和党勝利の主要因」との見方にも、40年前には民主党の牙城だったテキサス州の例を挙げ、逆に民主党が支持者の思いを無視して離れて行き、共和党がうまく左寄りの層を取り入れた話があったりする(日経朝刊2004.12.11 地球回覧)。変わったのは有権者側ではなく、民主党側というお話。先のNewsweeekの記事にも印象深い一節がある。
ブッシュ陣営からみれば、ケリーと側近は根本的なまちがいをしていた。さまざまな争点についての候補者の考え方ではなく、有権者が本能的にかかえている関心事によって勝敗が決まることを、ケリー陣営は理解していなかった。
人の相談を受ける時、こちらの意見を滔滔と述べるのではなく、相手は既に形にならない答えを心の中に持っているので、それを引き出し形にするよう話を聞いてやるべきという今流行のコーチングの話とかを思い出すが、同時に、形にならない思いが影響するということは、政策論ではなくイメージや印象論が大きく影響するということでもある。有名な心理実験で、人の印象は冒頭の第一印象で決まり、その後、どのような内容の話をしたとしても評価が変わることはないという研究結果が幾つかあるけれど、ケリーやブッシュに対しても同じことがあったようにも見える。
ケリーは「探究心が豊かで慎重な思索家」でもあったけれど、理性的で慎重に考え過ぎることが優柔不断さにつながって「決断力の無さ」というイメージにつながった嫌いがある。実際、反論や意見表明のタイミングを逃した大きな局面も幾つかあった。
インテリで理屈っぽい性格があだになった。スピーチライターが受けのいい言葉を書くと、ケリーが「スローガンじみている」と言って消してしまう。しかもケリーは何度も同じことを言うのを嫌った。政治家としては深刻な欠陥だった。ブッシュは、何度でも同じせりふを繰り返した。
暗がりでスポットライトが点滅し、「ロッキー3」のテーマが響き渡るなか、ブッシュがさっそうと登場すると、1万人ほどの観衆が大歓声を上げた。「このイベントの演出係を見つけて、給料を上げてやろう。」ブッシュはそうジョークを飛ばし...
Newsweekのロッキーのくだりを読むと、それこそ「アホでマヌケなアメリカ人」を思い出してしまうけれど、元々、「まじめ」や「教養」よりも「気さくさ」を重んじる傾向があるアメリカ人にとって、どちらがアピールするのかという点では興味深い。「まじめさ」をより重視しそうな日本人との違いを思う一方で、どこかの都知事が人気を得るような中、政策での中味はなく、印象で全てが決まるのはどこも変わらないというのもある。
ケリーのイメージで足を引っ張ったのは、「堅物」との印象の他に2つ。まずが、スピーチ能力の低さ。いつもグダグダ長々とインパクトの無い話をして、決断力の無いイメージを増幅させた。もう一つが、家族。テレサ夫人の持つ資産は10億ドル(百億円のオーダー)以上、2003年の所得申告は500万ドル。特権階級の人間という印象がつきまとった上に、彼女自身、自意識が強くて、選挙戦のため全てを捨てるというタイプでなかったため、不機嫌さや周辺の人間との衝突ぶりがbi*chと呼ばれそうな悪印象となったようだ。
イメージというのは恐いもので、ブッシュとて特権階級の人間で、実際自身もそういった意識の下、振舞っている。M・ムーアが描く「笑えるほどアホな大統領」のイメージと比べて、本当のところはどうなんだろうか?Newsweek内でこう書かれた本を読むと興味深い。
この本を読むと、ブッシュ政権の指導者は他の選択肢をろくに検討もせずに戦争への道を突き進んだように思えるが、読み方によってはブッシュの決断力の強さの印象が残る。
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全体的に客観的に書こうという試みが目に取れる一方で、パウエル達には多少好意的、チェイニーとラムズフェルドにはかなり批判的で、ブッシュについても微妙に批判的なトーンが見え隠れする感じ。訳者はあとがきでブッシュの粘り強さに言及しているけれど、実際に読んだ感想を言わせてもらえば、大統領という立場にあるべき人間ではないと批判されるような部分が満載。
「他人の意見に耳は傾けるが、相談はしない」とされるブッシュが、部下達にはっきりと意思を伝えず、周りが考えを読み取ろうと憶測や先走りで対応する様子が描かれており、結局、事態はイラク開戦へと後戻りのできないような方向へ自然に流れていく。あまりにも薄い内容の言葉しか発されておらず、決断が及ぼす影響について部下達の進言を理解している素振りが無いし、どうも「決断力の強さ」「粘り強さ」というのも余り感じられない。真剣に考えていないが故の判断・振るまいのように見受けられる。
著者の書き方・スタンスもあるので客観的に見る必要があるとは思うのだけど、「真剣に考えてねぇよな」と部下に愚痴られるのが世のサラリーマンの常ながら、ある程度まで上司がどれだけ深く考えているのか見えてしまうということはどうしてもある。真剣に考えたり下勉強しないで示す決断力なんて、悩みが無い分、楽だよなと思う一方で、思慮深さと同時に人に与える印象の操作も考えなければならないのだと思うと、管理者の悲哀も感じてしまうところ。
でも、だからといってブッシュを支持する気には全くなれないけれど。「攻撃計画」の締めのブッシュの言葉が、お気楽さを表している気がする。
「歴史か。わかるものか。そのころには、われわれはみんな死んでいるよ。」
「三国志」等、史書に登場する人間も、「死しても名を残そう」とたちふるまったりするんですがね。後世の評価を気にしてノイローゼになるようなタイプじゃないから、少しは気にして欲しいものです。世の中のために。




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