2004.12.16

理系 vs 文系

 書きたいことを思い付いた時に書くスタンスで続けるようになって来たので、過去に「書いてみようか」と書いてその実書いていないエントリーとかが結構ある。そもそも、ブログを別の場所で始めた当初は「毎日書かなきゃ」という状況があって、毎日続けるための題材設定をする必要もあったので、その内飽きて「その1」で終わっているシリーズとかもあるんだけど。
 
 確か昔に「理系と文系の分岐点」みたいな話を書こうかな?と書いたような気もするけれど、もう1年近く前かもしれないので記憶が定かではない。あんまり新鮮な切り口の話にもならないのかな。
 
 世の中で一流の人材を見れば、「理系」と「文系」といった単純な区切りの知識しか持っていない人って使いものにならないのが分かるように、大雑把な二律区分も哲学上の「心身二分論」みたいに時代遅れな感があることはある。(研究者として象牙の塔内の道を歩む場合は話が別。)でも、一般的な社会の現状を見ると、そういった切り分けで嘆きたくなる気持ちも分かる気がする。日本は「文系支配の国」といった話のこと。
 
 
 

理系白書
毎日新聞科学環境部

講談社
2003-06-21
売り上げランキング 25,675
おすすめ平均 

Amazonで詳しく見る
   by G-Tools

 
 
 1年半前に出た毎日新聞の連載をまとめた本で、一通り出てきそうな議論を広くカバーしている一方、切り込みが浅いのが何となく日本のジャーナリズム的。少し前に「失敗」について考えたりしていたので、7章「失敗に学ぶ」が少し面白かった。実は最近知ったのだが、この連載記事の記者がブログを始めている。
 
 
  「理系白書」ブログ
 
 
 新聞記事にはそれなりに反響があったのかとは思うけれど、こちらのブログの注目度は微妙なのだろうか。コメントでも記者氏の隙の多さがしばしば指摘を受けていて、そこら辺にも「文系社会日本」を思わせる一面も。
 
 
 さて、「理系白書」のサブタイトルが「この国を静かに支える人たち」で、冒頭の内容が「報われない理系出身者」→「生涯賃金の格差、家一軒分」、「政界、財界もトップは文系」→「中枢に理系が不可欠」であるように、一番の問題の根源が「本当の必要性とリンクされず、社会的にそれ相応の対価を与えられていない理系的素養の現状」であるのはまぁ確かであるような気がする。
 
 日本の高度成長期を支えたのは明らかに製造業周辺で、海外の技術を追っかけたプロジェクトXに出てくるような人達とか、自動車産業のような品質・生産管理に関わった人達、世界に冠たる技術を持つ中小企業の工場達だろう。製造業の場合、開発者は言わずもがな、経営に関わった人材だって、少なくとも理系的知識を勉強しなかった筈がない。
 
 ちなみに、最近の日本ではコンビニや服飾のような小売業や通信といった分野にも世界に通用するイノベーティブな要素がある。欧米ベンチャー企業での Google のようにシリコンバレー・スタイルの先端技術がベースにあるビジネス・モデルに比べて、日本の場合、サービス業態をどうするかという文系的な部分に狙いを定めることが多いという話があって、一つには変動の激しい市場の性格の違いが背景にあるとは思う。一方で、理系人材がコミュニティに閉じこもって、そうした業界に出てこない、来れないという部分もありそうだ。
  
 日本の高度成長に対して、「国の発展を支えたのは当時の優秀な官僚がいたからだ。それに比べて、今の役人どもは...」という辺りには、「実は昔の官僚も...」というここら辺の文章が興味深い。
 
 
 「官僚神話の源流を追う」 (別冊宝島『官僚くんが行く』(1998) )
 
 「官僚いじめもほどほどにね」 (Hotwired 山形浩生の『ケイザイ2.0』)


 要は「結果論で日本の経済運営は成功したが、官僚達の政策運営は大勢に寄与していなかったというのが定説」との話。この上に、先の「理系白書」でも挙げられているように、政治家・官僚の大半が文系出身者という話が乗っかって、それにゲノムの失敗例等々、科学技術政策の失敗に見る「科学オンチ」ぶりが述べられて、中国やヨーロッパの政治家・官僚の理系出身者率が反例として挙げられるというのが、日本の現状を嘆く基本パターン。
 
 以下の本でも、宇宙開発政策における「理系オンチ」ぶりが、「理工系教養の欠如が招いた混乱 -無理解のまま進められた情報収集衛星計画」として痛烈に批判されていて興味深い。
 
 
  

国産ロケットはなぜ墜ちるのか
松浦 晋也

日経BP社
2004-02-05
売り上げランキング 18,357
おすすめ平均 

Amazonで詳しく見る
   by G-Tools

 
 
 本自体はちょっと「宇宙オタク」っぽすぎる内容の感じもするのだけど(現実にそういうオタクはいるようで、僕の周辺にも強力なのがいる)、なかなか意欲的でいい本だと思う。一番の失敗の原因を中枢の「理系オンチ」ぶりに置いて指摘している。
 
 このように弊害が明らかであるのに、必要なポジションや役職に対して理系的な素養が無くてもOKとされてしまう風潮だが、「理系白書」内では阪大の1999年の調査例を挙げていて、入社すぐの給料が理系出身者が平均で70万円ほど高いのに対し、その後の逆転現象で生涯を通すと5千万円ほどの差になると書かれている。昨今までは金融業界はなぜあれだけ高給取りなんだという反感が世の中にあったと思うが、一般的に文系出身者の経営トップが多いというのも確かだろう。
 
 ここら辺はやはり欧米人では違和感があるようで、昔、学生時代にオランダ人と卒業して行く日本人の諸先輩の行き先を説明していた時に、「日本のような国でなぜエンジニアの年収と地位がそれ相応でないのか?」という話になったことがある。
 
 アメリカでは一般的には「文系」的な学位 B.A. や M.A. に対し、「理系」的な学位(厳密に言えば「科学」の学位) M.S. や M.A. の方が就職にも有利で、平均給料も高い。文系の学生生活も要求される勉強量はなかなかのものなのだが、それにも増して卒業のために研究論文をしあげ、研究プロジェクトにも幾つか参加しなければならないような理系の方が単位の取得や卒業が厳しいのも確かで、そこら辺の研究(室)生活は日本の理系学生もそんなに変わらないかと思う。そうした苦労に対して、それ相応の対価が用意されているということになる。
 
 お金のような外的な動機よりも、達成感ややりがい、目標設定といった本人の求める内的動機の方が、本当の成功につながるという「報酬」に関するロジックもあるので、個別の議論になればお金が全てではないのだろうが、総体的に見れば金銭的「対価」は一つの大きい因子である。 

 金銭的対価はある意味アメリカでは明確な基準で、IT産業のオフショアリングを受けて、MITでここ3年でコンピュータ学科専攻の学生が半分になったという話もある(日経 2004.11.25 「IT大国 揺らぐ土台」)。ビルゲイツがカリフォルニアのバークレーにコンピュータ学科の魅力を訴えに行ったという話もあって、将来の有望性から優秀な学生がバイオや金融方面に流れているという現状がある。才能はやはり収入に比例した業界に流れて行くということ。
 
 
 こうした話をしていると、一般的な話で「理系出身者の方がコミュニケーション能力が低くて、経営トップには向かない」という話が出てきて、理系を専攻するからコミュニケーション能力が低くなるのか、元々コミュニケーションが苦手な人間が理系を選考するのか、「鶏と卵」のような話にもなってしまう。大枠としてそういった話が分からないではないのだけども、議論として重要な基本的部分を見逃してるとも思える。「理系」とか「文系」の出身が問題なのではなく、「理系」的な素養を持ち合わせることができるのかが問題ということ。
 
 加えて、「コミュニケーション能力」や「リーダーシップ」というのが必ずしもクラブ活動やサークル活動における社交性と一致するものではないというのは採用のスペシャリストも語っているので、一般的なイメージの「コミュニケーション能力」と本当に仕事の場で必要とされるものに少し開きがあるような気もする。
 
 
 

面接官の本音〈2003〉
辻 太一朗

日経BP社
2001-12
売り上げランキング 87,578
おすすめ平均 

Amazonで詳しく見る
   by G-Tools

 
 
 そもそもリテラシーやプレゼンの能力で言えば、理系の方が訓練は受けている筈だろう。一方で、日本の企業文化が学校での教育内容よりも、入社後の教育・経験を重視するということが、まず「つぶしが利く文系」という風説につながっていたという点もある。そうした会社の教育制度は、品質や社員のモチベーションを保つ上で一つの長所であって来たのでもあるだろうけれど。加えて、以下の文章にあるような「仕事と遊びが一体となった同僚との疑似家族的小宇宙」という側面も、「コミュニケーション能力」の考え方に大きな意味を持っていたかと思う。
 
 
 梅田望夫・英語で読むITトレンド: 
 「楽しい日本の会社」にアンチテーゼを突きつけるデル (2003.11.6)
 
 
 つまり、特に高度成長期の日本企業を思わせるようなそうした世界観の中では、「サークル活動」的な社内コミュニティに対するコミュニケーション能力が重要であったのかというところ。個の生活を重視する世代が増えた上、リストラ・能力給の厳しい職場環境のおかげで、「和」よりも利益を産み出す能力がシビアに求め出された中、果たして以前までのベースで考えられるのかという問題がある。
 
 
 結局、文学やアートの世界か法曹界の場合以外では数学・理系・科学的な素養というのは欠かせないはずで、しかもそれはあくまでも基本的な素養という部分になる。やっかいなのは、理系的な体系的基礎知識というのはいきなりの独学がしにくい点にある。演習と実体験・試行錯誤による学習が知識化には不可欠というのは行動科学等の定説のわけだけど、学校のような場での教育の方がどうしても効果的になるのではないか。
  
 自分も進路選択の際に文系と理系の進路のどちらを選ぶか悩んだことがあるけれど、好むと好まざるに関わらず必要な基礎知識というのが理系・文系両方にあって、基盤の部分はある程度、基礎的な教育で学んでいないと、自学で先に進めることもしにくい。実社会に出て、学校で教えるべきそうした基盤に思い当たることも幾つかあって、理系出身の自分の能力を見ても、統計の基礎を教えるというのが日本の教育カリキュラムでは足りなさ過ぎると思う。

 つい昨日も出張移動の電車の中で、期末試験期間らしい中学生達が「社会の暗記の方をまずやんなきゃ。時間かかるし。因数分解なんてコンピュータで終わり。数学は実生活じゃ役に立たないからなぁ。」と話していたけれど、一番「理系」的な素養として重要なのは、問題解決を通して学ぶ「科学的な問題の考え方」や「解決方法の模索のし方」にあると思う。そして、これはそれなりに時間をかけた経験や訓練でしか身に付かない。
 
 「数学なんて実生活で役に立たない」という学問と教養に関する議論については、この本なんかも考えさせられる。
  

 

東大生はバカになったか―知的亡国論+現代教養論
立花 隆

文芸春秋
2001-10
売り上げランキング 13,682
おすすめ平均 

Amazonで詳しく見る
   by G-Tools

 
 最近株を落としている立花隆だけに、じゃあどうするのか?という最後の方の議論に結構?マークがついたりするのだが、中の一節で哲学者オルテガ・イ・ガゼットを引いている。
  
 「現代の教養の大部分は科学から発している......(よって、)社会の指導層が、今日、物理学的世界秩序が何を意味するのかを知らないとすれば、彼らは完全な野蛮人である。」
 
 本来、即効的で実学的ではない知識である「教養」についてどう教育するか?という点について、僕には少々異論があるのだけれど、それを置いておいたとしても、科学的な知識という奴には「教養」的な価値以上に「実学」としての価値があると思う。
 
 実社会に出て実感したのだけど、一種のデスクワークをする場合、学歴とかに関わらず論理的な考え方ができる能力というのは重要になって来る。実社会の問題は理論に出てくる問題よりも遥かに複雑で解くのが難しい。MITのビジネススクール教授 A. Geoffrion が70年代に論文タイトルで
 
  「常識による計画は貴社の健康にとって有害になりますよ!」 
 
と書いているのだけど、影響する要素が多い場合、往々にして人間の直感と科学的な最適解がずれる。理論的なものの考え方というのが重要になってくるわけだ。
 
 
 そこら辺が算数嫌いを産み出すきっかけにもなっているような気もする。授業でいろいろな理論を理解して行く上での「分からない」というつまずきは、常識的な感覚に対しての違和感を超えられないところにあるんじゃなのかなと思うわけだ。

 オカルト信仰者みたいな科学的素養がない人間が勘違いしやすい理屈として、「科学では説明できないことがある、だから~(霊界は存在する云々)」といったものがあるけれど、科学者は科学の説明能力の限界なんて重々承知している。数式に入れれば答えが出てくるというイメージは嘘で、例えば物理の基本である力学においてですら物が3個以上に増えると、その挙動は完全には式で求まらなくなる。
 
 簡単には説明できない現実を「うまく説明できる」ような単純化したモデル・理論・しくみを作り上げる。そうしたモデルを幾つも並べて、理論的に検証した上で最も「うまく説明が合う」ものを選び出すというのが科学の本質。だから、現代科学では説明できない内容に対する対案に、さらに現実に合わないようなくだらない理屈を持ち出すというオカルト的なものが笑止なのはそこの部分にある。でも、人間の直感的・感覚的な部分と科学の指し示す方向の違いという点では、トリックのテクニックとして個人的に興味を持っているところではあるのだけどね。
 
 
 さて、新聞には「理系離れ」の言葉が踊っているけれど、それは本当なのだろうか?
 
 
 内閣府「科学技術と社会に関する世論調査」
 (18歳以上対象、2004年1~2月実施、全国2,000人回答)
 →「科学技術に関するニュース・話題に興味がある」 10代 36.4%、 50代 58.8%
 
 国立天文台アンケート結果
  (小4~6対象)
  →「地球は太陽の周りを回っている」 正解 56%、 不正解 42%
 
 兵庫県芦屋市「学習状況および生活・意識調査」
  (小5と中2対象、2004年1月実施)
  →「数学がとても好き、まぁ好き」 小5 65.4%、 中2 49.9%

 IEA「数学・理科の学力に関する国際比較調査」
  (中2対象、2003年実施、46国・22.4万人回答)
  →「数学成績順位」 1981年 1位、 2003年 5位
  →「理科成績順位」 1970年 1位、 2003年 6位
 
 

 残念ながら、やっぱり本当らしい。ダラダラ書いて来た上のような議論を踏まえても、教育の制度にもいろいろ問題がありそうだ。しかし、天動説はちと驚異的。アメリカの子供が進化論を教わらないことを笑ってもいられない結果だ。
 
 世の中の雑誌やTV番組を見て海外と比べても、世間一般にもう少し理系的分野に興味があってもいいと思う。頂上に上るまで遠くを見渡せないような教育の仕方にも問題があって、先端技術や社会に役立っている技術にどうつながっているのかをうまく見せてあげれば、汗を書いて基礎理論を学ぶ、山をえっちら登っているような間にも張り合いが産まれると思うのだけど。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

2004.06.01

長いお別れ

 え~、ご無沙汰しておりました。1ヶ月も更新をさぼって、どうもすいません。そんなに経てば、間にいろいろありましたよ。
 
 
 
 1. 存在を隠して来た本ブログの存在を知る人が周辺に発現。
 
 2. こんなことも。
 
       grad.jpg
 
 
 
 日本でも院の卒業式を経験したけれど、こっちの方が感慨深かったかな。このために、ここ1ヶ月ぐらい必死だったわけだけど。何だか、未だに試験受けていて気が付くと時間が足りなくなっている夢を見てうなされます。夢なんて見ないような大人になっているんですがね。もう勉強なんてご免って感じだけど、教授からもらった研究課題がまだ残っているんです。ギリギリまで引き継ぎ残すような、夏休みも最後の夜にヒイヒイ言うようなタイプだからなぁ。
 
 いろいろ事情もあって、卒業後は日本でサラリーマン生活に復帰です。もともとアカデミックなキャリアは考えていなかったし。New Mexico辺りを放浪しに出かけたり、書き忘れたアメリカ生活ネタ等々がたまっているので、とりあえず帰国後までまたがってそうしたネタを一掃しようかと思ってます。その後はタイトルを「東京の空の下~」に変えるのかと言えば、どうかな。看板に偽りありだけど、「加州」を見てカナダ在住と思われた方も前にいらっしゃったぐらいだし、最近の内容もアメリカ生活ネタ激減だから、このままのタイトルで少し続けようかと思ってます。フレーズに愛着も湧いてしまったので。
 
 あと10日間ほどでアメリカ&学生生活もお別れ。今は残務処理が山のようで実感無いけれど、少し寂しい感じはあります。昨日もこちらの友人カップルと夜まで過ごしてたけれど、英語の会話力は未だに恥かしいレベルで終わっちまったなぁ。ヒアリング力は昔のお寒い状態から格段に進歩したんだけれど。何だか日付が今日に変った帰りの夜道をドライブしていて世界が少しセピア色に見えました。年とったら、家族で住んだ家とかキャンパスを訪れて涙するのかな。今は血も涙も無いような人間だけどね。
 
 ここに書いても見ている人はいないだろうけれど、苦しい暮らしを支えてくれたかみさん、友人、知人、親戚には感謝してもし切れないです。と感謝の気持ちを残してペンを置いておくことに。時間が無いので、帰国前に記事を書けるかな......ちょっといろいろ書きたい気分なので、やること放り出して雑文を垂れ流すかもしれません。

| | Comments (6) | TrackBack (0)

2004.02.03

成功へのレシピ

 先のエントリーで、枕に「若い時の進路選択の悩み」という話を書いたのだが(→理系人間的に許せない映画)、確かにこれって大きな問題だろう。「何を勉強するか」「何を職業にするか」。自分の時も、世の中に情報が出回ってなく、仕事をしている将来像がなかなか描きにくい気がしたが、今はネット上の情報の氾濫で状況が良くなったのだろうか?ネットの情報ほど信憑性に気を付けた方がいいものはないし、他の大きな情報ソース、就職を考え出した頃に話を聞きに行くというのも、既に話す側はある程度、内部側の人間として発言する。本音というのは隠れるし、企業社会の中で夢など潰えているような人だって少なくないだろう。
 
 日本の大学にいた頃、「就職活動や就職した後では、他企業の実像は見られないし、だから大学3年の夏休み、友人達と何十社もの工場見学をやった」と豪語するOBがいたが、多少実像が見えるものの、やっぱり外部向けに隠された部分が見えるわけでないし。それに、自分がその職業に就いた時の感じと、他人の体験談は、また別物でもある。
 
 さて、導入が長くなってしまったが、先のエントリーに出てきた「村上龍/13歳のハローワーク」を広告で見た時、僕は少し前に読んだ記事を思い出した。こんな話。
 
 ある主婦が同様に子供から職業選択について質問された時、答えられない自分をもどかしく感じた。その主婦は他の何人かとグループを作り、片っ端から各界の一流の人にアクセス。インタビューを行い、自費出版。それが増版されて売れている。ソースと書名が思い出せないので、もどかしいのだが、この本凄いのは、坂本龍一クラスにオファーを出して受けてもらっているという点。感心したのだが、先の村上龍の本も含めて、それだけいろいろな実像の情報が欲しいというニーズの表れでもあるのだろう。
 
 
 
  自分ももっと情報が欲しかった。そうすれば、こんな人生歩んでいなかったのに...... 
 
 
 
というのは冗談だが、案外世の中に情報はないもの。高校の頃、学校に授業をまともにやらずに人生訓を垂れることで数十年名物になっていた教師がいたが、僕は同級生と違って彼が嫌で嫌でたまらなかった。今となって分析すると、まだ物を知らない学生に向かって安っぽい話をする辺りに、本物でない胡散臭さを感じたというところか。
 
 成功例に学ぶか、失敗例に学ぶか、というのは議論の余地があるテーマだけど、失敗例には「無為の失敗」と「不運の失敗」があるから、前者に当たると教訓に深みがなくなってしまう恐れがある。そうなると、人生訓垂れるような親父よりも、その道で一流の人達に話を聞いた方がいいんだろう。余りにもレベルが違いすぎて、参考にならないかもしれないが。
 
 ということで、とりあえず頭に浮かぶ、一流の人に学べるソースをざっと振り返ってみることにする。
 
 
 
1. 「建築家たちの20代」 TOTO出版
 
 社会的ステータスとかじゃなく、社会への影響の大きさ・他の分野との異質性等々で、理系における医者の如く、工学における建築というのは、少し違った存在かと。アートとの境界分野にあるという点で。僕も、やり直せるんだったら、建築、おもしろそう、と思っている口。
 
 ここに挙げたのは、安藤忠雄氏が教授をやっていることで、面識のある超著名建築家達を大学に招き、生徒達の前で話してもらったセミナーの記録。ちょっと、専門外者には分かりにくい単語や概念も出てきたりするのだが、注をつけたり、元の原語を載せてあり、すごく丁寧に作られた本。「TOTO出版」というのに、少しエッと思わされたが。
 
 アメリカの大学では、各学科で(学部ではない、だからキャンパスでは数え切れないほどあちこちでやっている)、毎週のように外部の研究者やプロを招いてセミナー(講演)をやっている。授業の1コースとして多くが存在しているので、毎週一流(とは限らないが)の主に研究者の話が聞けるわけだ。最近、忙しくて聞きに行っていないが、有名な著書の作者とかもやって来る(英語で有名ということは、国内で有名ということだけでなく、世界的に有名ということ)。日本の大学では旧来こういうものも少なく、まぁ、企業から人を呼ぶのがあったぐらいだろうか。そう考えると
この本の内容はすごい。建築の歴史の教科書に出てくるような面子が、前に来て喋ってくれるのだから。建築を志す人間にはベストな本かと思う。
 
 
2. 工学部教授たちへのインタビュー
  
 今いる大学では、工学部で発行している学生新聞の穴埋めに、幾つかの決めた質問を選んだ教授にして答えてもらっている。研究者という少し特殊な領域の職業ではあるが、なかなか面白い回答があったりもして。欄の狭さゆえ踏み込んだ内容は引き出せていないのだが、その中に「あなたの成功の秘訣」というのがあって、この回答は少し参考になるかと。
 
 企業経験のある教授も少なくないし、他の冊子等を見ると、バイオリニストやシェフ、声楽等々、皆趣味も多才。結構、人間的にも面白いのかな、と思うところもある。
 
 
 
 さて、以上のソースを読んで、彼らが語る職業経験で得た教訓という奴から、面白いものを拾ってみようかなと思う。研究者と著名な建築家が語る、若い時代もしくは芽が出る前の時代に何をすればよいのかというお話、少し面白いなと思ったのは、以下のアドバイス。
 
 
1. メンターを賢く選べ
  
 これは教授の方のアドバイスだけど、確かに、アメリカの大学では日本のように研究室の所属が決まれば、そのまま研究内容も与えられて、雑用も手伝っていればその内、というわけにはいかない。博士課程でも、指導教官を選ぶのも本人の努力と責任。この出会いで人生の悲喜も分かれるようです。数人の教授にアプローチして、指導教官複数という場合も多いよう。
 
 実は、これは研究職の話だけではなく、建築家の方も自分の経験を通して、若い頃に揉んでもらった師の話をしている(特にフランス人、当時のフランスの建築教育が半分は大学外部の事務所で経験を積むカリキュラムだったため)。少し前のベストセラー「iモード事件」の中でも、入社直後のメンター的存在の重要性について書かれていた気かな。最近は、会社もリストラで中間管理職が経験不足&下の面倒を見ている余裕無しで、社会人の場合、メンター的存在に出会うことができなくなっているのかもしれないけれど。
 
 
2. 可能な限り旅行せよ
  
 これは建築家サイドのアドバイス。少しびっくりしたのが、しめし合わせたかのように皆が口を揃えて言っていること。まぁ、自分は建築家になるわけではないので、必要不可欠なのか分からないが、「理論(なぜ)と実践(いかにして)は表裏一体」との言葉もあって、とにかく実際にその環境に身を投じてみろということの様子。世界を知らないアメリカ人には耳を傾けて欲しいもの。
 
 
3. 今の職業に就くとは...
  
 これは特に教授の方。本音かどうか分からないけれど、圧倒的に「教授になるなんて考えてなかったけれど、いつの間にかなっていた」という話が多い。皆、「研究が好きでその内に」「企業の研究職時代には長いスパンでの研究ができなかったので、大学に移った結果」等々。好きこそものの、というところですかね。(対する日本の教授の多くは政争にあけくれた経験がありそう。)
 
 面白かったのは、企業生活を数十年続けた後に、勉強しなおそうかと思って大学に入学志望を出したら、学校当局が慌てて教授として迎えたというお話。破天荒なところがアメリカらしくもあります。
 
 
4. 知的好奇心を持て
 
 これは両者共、ある意味クリエイティブな職業だからですかね。研究室に閉じこもりがちな学生達に対して、教授連は「キャンパスの外へ飛び出せ」みたいなことをよく言っております。
 
 
5. ゲームは限られた時間内でやるもの
6. ユーモアを持ち、深刻に考え過ぎるな
7. 最低2本の論文を毎日読め

 
 5.は勉強に追われるアメリカの大学生に送っている言葉。同時に、「課題の締切を必ず守れ」という脅しでもあり。6.は、負荷が大きいため絶えない学生の自殺へのメッセージかも。
 
 7.は実践できたら凄い気が。1日2本のブログも読めない私、誰か研究者でこういう生活を送っている人がいるのだろうか。社会人はどうだろう。最近、経営が高評価の松下電器社長は、仕事が終わると帰宅して読書の時間に当てているそうだが、日本の企業は今までそういうタイプの人間を馬鹿にする傾向もあったからねぇ。豊富なインプットがないと、マネジメントなんて続けられない気もしてます、最近。
 
 
8. プライバシーを守る技術を持て 
 
 さて、意外と当たり前なことしか言っていない気がするが、建築家の諸先生は情報にあまり振り回されるな、ということを言っております。「1日に20分は一人で静かにものを考えよ」ということで、持てる時間を注ぎ込むネットジャンキーはいかんようです。
 

 その他、意味不明な成功の秘訣。
 
 
9. ジンを4、ベルモットを1
  
 ......
 
 
 何ができるんでしょうね。ま、お酒とユーモアは人生の必需品ということらしいです。
 
 
 
【過去のコメント】
 
[MediHen] [2004/02/06 23:52] [ MyDoblog ]
ボストンの大学でお世話になっていたとき、あるプロジェクトのチーフ・プログラマーとして引っ張ってくれたベテランがいました。彼がプログラミングを始めたのは、結構、歳がいってからで、その前は考古学者だったとのこと。彼の奥さんは、栄養学を教えていたのですが、夜はレストランで働くムーン・シャイナー。普通の日本のサラリーマンである自分にとっては、職業って、なんだろう、と思わされる人たちでした。最近、“好きこそものの上手なれ”ということわざも、気になっています。これは村上某に影響されすぎか。

[blue&gold02] [2004/02/07 00:44] [ MyDoblog ]
日本人的に見ると、アメリカはキャリア・パスがかなり自由に映るんで、うらやましいですよね。ま、本人達の強い意志と行動力があってこそ、とは思いますが。日本の場合、色眼鏡みたいのも強いのかな、組織への強い所属意識とか。

[nyanzira] [2004/02/05 01:03] [ MyDoblog ]
ダメンター ってのもいるから気をつけないといけないらしいです。
駄目っていわれてもねぇ、わからないよぉ(混乱

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2004.01.22

アメリカのキャンパスで学生はどんな音楽を聴いているのか?

 と、こんなタイトルを書いてはみたが、意外と難しい命題だ。というのも、日本で「主に大学生が聴く音楽」といっても簡単にはまとまらないのと同じ。
 
 古い記事にこんなのがあって面白かったのだが
 
  『iTunes』のプレイリスト共有機能で問われる音楽センス
 
 
 ここで挙げられているジャズマニアの話ほどに「かっこよく見せよう」というのはない気がする。ただし、ある程度は本当。日本でもさすがにある程度の年齢以上でアイドル歌謡的な音楽が好きと広言するのがはばかれるように、とある授業で'N SYNCがデータ収集実験例の小ネタになったら、ほとんどの学生がかなり痛烈に小馬鹿にしていたし。一方で、特にジャンル分けと聴く層がはっきりしたアメリカでは、「ジャーマン・テクノ→ナチ・ファッション」という話はまぁひどい誇張とはいえないようだ。街中でパンクファッション着て歩いているような学生がCD屋で見ているのは、確かにそういう音楽だった。
 
 コンピュータ・ラボで作業をしていると誰かしら音楽をかけていることが多いが、一般的なのはアメリカのヒットチャートのナンバー。ヒップホップ系はあんまりかかっていないが、大学の広場ではヒスパニック系の学生がラップをしていたりして結構うまかったりする。昔、大学の行事にもDe La Soulとか来ていたので、まぁ聴かれていることは確かかな。でも、MTVでかかっているようなアメリカのヒットチャートでの比率よりは割合が低めな印象が。
 
 後は留学生が多いので、自国系の音楽を聴いていることも少なくない。メキシコ人ならばやっぱりスペイン語の歌(たまに踊ってたりする)。フィリピン人は自国でもアメリカ文化にさらされているので、アメリカのロック系をかける自国のネットラジオを聴いていた。ほぼアメリカのチャートとイコールだったけど。台湾や中国系は自国の音楽あんまりかけていないのだが、一度大学院生に聴いているCDを見せてもらったら、何故か日本の演歌、クラッシック、小田和正(ドラマのせいでしょ)!「この人もう爺さんだよ」と言ったら、ちょっと驚いていたが。
 
 クラッシックは特にアジア系(やはりまだ日本に比べて留学生は富裕層の子女が多いのか)に聴く学生がいる様子で、教師が授業で「余ったチケットいらない?」と訊いたら手を挙げる人間がいた。ネイティブがラボで一度かけていたのは、Pink FloydかYes辺りのプログレ。多分個人的な趣味なんだろうけど、結構ヘッドホンを使っていることも多いので後はよく分かりません。
 
 さて、このブログで書いている内容からお分かりの通り、私めの現在聴いている音楽はAlternativeより。まぁ、インディーズ系洋楽とでもいえばいいのだろうか。本来流通方法での区別だから、インディーズというのは正確に言えば当たらない言葉だが、日本でもメジャー予備軍のビジュアル系みたいな音楽以外を考えれば、海外の状況も想像できると思う。
 
 ここら辺の音楽は特にアメリカでは大学内のラジオ局(College Radio)を中心に、新しもの好きの大学生の耳によって人気が広がっていくことでメジャーになることも多く、キャンパスと切り離すことができないジャンルでもある。例えば、REMなどそうしてビッグになっていった口。レコード会社のプロモ攻撃に晒されないことで、いい音楽を自由にかけられるというところが、最先端の音楽をかけられる土壌にもなってきた。CMJ(College Music Journal)のチャートはどんなインディーズ系音楽が注目を浴びているかでよく引き合いに出されるので分かる通り。
 
 残念ながら自分の大学のラジオ局とやらを聴いたことがないのだが、サンフランシスコには有名なAlternative系のラジオ局があるので、そちらで代用中。Radioheadクラスのバンドまで、特別ライブ演奏番組をやったりするので、確かそうした音源を集めたコンピレーション盤が出てたと思う。学生街のCD屋を含め、ベイエリア周辺にはRasputin、Ameba、Hear Musicというかなり大きなインディー系レコードチェーンもあるので、かなり充実している。くるりがインタビューで、「アメリカのレコード屋は最近駄目になった」みたいな話をしていたが、その時「唯一いいね」と挙げていたのがそうしたCD屋のLA店だったっけ。
 
 さて、長々書いてきてしまったが、最近大学の新聞でも2003年ベスト盤を挙げていた。当然、先ほど挙げたCollege Music系のセレクションなんだけど、これ私的には結構ショック。昔だったら、半分から少なくとも1/3はこういうセレクション押さえていたのに、1枚しか買っていないじゃありませんか。おまけに「え、まだやっていたんだ」的な人達もいっぱい混じってるし。年取ったんでしょうな。ちぇ。
 
 
 (その2003ベスト・セレクションはこんな感じ)
 
 1. The New Pornographers/Electric Version
 2. Outkast/Speakerboxx: The Love Below
 3. The Shins/Clutes Too Norrow
 4. Belle and Sebastian/Dear Catastrophe Waitress
 5. Yo La Tengo/Summer Sun
 6. Josh Rouse/1972
 7. Super Furry Animals/Phantom Power
 8. The Postal Service/Give Up
 9. Guided By Voices/Earthquake Glue
 10. Ween/quebec

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2004.01.07

日米学校比較(2)

 前に(1)を書いて、過去エントリーの中に埋もれて忘れてた。(2)も書かないとね。
 
 ということで、今回は「多様性」について。アメリカの大学ではよく"Diversity"という言葉を耳にする。特に工学系の学科では留学生であふれかえるわけだが、人材次第で自国外の人間でも平気で招き入れる、そのスタンスこそアメリカの原動力でもある。
 
 今通っている学科では、ただでさえアジア系留学生の多いカリフォルニアということもあって、ネイティブ率3割以下。意外にトルコ人(教官にトルコ人がいるためのよう)、フランス人(フランスには修士だけ海外で取るように援助する奨励制度があるらしい)、メキシコ人が多く、台湾、韓国、タイ、シンガポール辺りはもちろん常連。
 
 アメリカの大学の入学選考では、出身の多様性も考慮される。いくら優秀な人材が上から全部ネイティブだったとしても(現実にはあり得ないが)、人材の多様性という点も考慮される。最近は貧困層のアフリカンアメリカン・ヒスパニック等、特定人種を一定率で入学させるという制度は廃れており、黒人の学生をキャンパスで見ることが少なくなっているようではあるが。(肌の黒い人といえば、意外とアフリカの小国からの留学生も少なくない。エルトリアなんて国、日本にいると知る機会も少なかったのでは。)
 
 日本にもアジア諸国からの留学生は少なくないとはいえない。特に今、名目留学の不法滞在も問題になっている。ただし、アメリカの大学院(特に博士課程)ではほぼ100%の確率で奨学金やアルバイト職を得られるのに対し、日本ではそういうことがない。9・11のおかげで、留学生に対する管理手続きが非常に厳しくなっている昨今、面倒なこともあるのだが、日本の場合、ムチとアメの両方を強化する必要があるというのは衆目の一致するところだろう。
 
 アジアからの留学生に学部卒業後、日本のビジネススクールに行くのはどう?と尋ねられたことがあるが、個人的に勧めなかった。その際、少し調べてみたのだが、国際性・英語重視といってもまだまだ日本語がたどたどしい学生が中でやっていけるとも思えなかったからだ。日本企業に就職するのであれば人脈作りで日本のMBAもいいのかもしれないが、日本の企業文化というのも大抵の場合、まだまだ外人には辛そうだし。当人によると、ウェブ上にあった某有名私立大学の担当教授に質問メールを送ったら、かなりつっけんどんな回答が帰ってきたとの話。学校側もあまり真剣に海外からの人材を求めていない嫌いもあるようだ。アメリカの学校の場合、熾烈な学校間競争で勝ち抜き、優秀な人材を確保できるチャンスを求めるので、志願者からの質問メールにはもっと真剣なはず。(事務仕事はいい加減だが。)
 
 大学の多様性重視の面は、何も国籍等だけでなく学歴に対しても現れる。アメリカの大学で、学部から修士課程、博士課程まで全て同じ学校というのはかなりの少数派。(そういう教授の方が母校への思い入れが大きいのか、生徒の面倒見がよかったりするのは困ったものだが)。大学は当然、自校出身者を教官として迎えることを喜ぶのだが、研究者としては一旦博士課程や修士課程で他校へ行くことを求める。うちの学校でも、学部卒業生の出願に対する修士課程への選考でも、自校生に対してはかなり厳しいようだ。
 
 生徒側としても、少しでも条件の良い学校を求めて、学校を移る。同じ学科にいる博士課程の学生は、修士課程を別の上位ランク校で終えて今の学校に移って来た。どうやら、前の学校は学科の規模が大きすぎて研究環境に良くなかったということらしい。一方で、彼の友人は正にその逆の動きで、学校を移動したとのこと。理由も正反対で、元の学校は学科の規模が小さすぎ、より大規模な学科を求めたということらしい。日本みたいに上位校が一極集中化していなく(多少その嫌いはあるが)、ある程度の複数校の間だとレベル的には遜色がないということも大きい。一般日本人に名は通ってないとしても、研究・教育レベルでいえば世界ランクの大学なんて、アメリカ内に数十あるものだから。
 
 
【過去のトラックバック】

TB: スラムにコトー先生のような先生はいるか
 
 
【過去のコメント】
 
[Tweety] [2004/01/08 04:24] [ MyDoblog ]
アメリカの大学では同じ大学の卒業生を先生として迎えると新しい考えが入ってこないということで(これを近親交配と呼んでいます)、できるだけ他の大学の卒業生を先生として雇おうとします。実は私も自分の卒業した大学に勤めている近親交配の結果です。私はやはり理論的には自分の先生の考えに近く、やはり新しい考えが入ってくるのを妨げたのではないかと自分で思っています。

それから、多様性に関してトラックバックさせていただきます。


[blue&gold02] [2004/01/08 09:06] [ MyDoblog ]
トラックバックありがとうございます。
日本の理系の場合、各研究室が教授のシモベみたいな徒弟制度的な密室空間ですから、近親交配といってもまだ健全なのではないでしょうか。
若い教員の方々は毎週のセミナーに講師を呼び集める役目をさせられていて、そういう人脈作りの点でも他大学の経験が必要とされるんだなぁ~と思って眺めてます。

[Tweety] [2004/01/08 22:28] [ MyDoblog ]
私は文系ですが、やはり徒弟制度があり、それがイヤで日本を飛び出してきました。特に私の先生はひどかったですが、そのおかげでこちらに来ましたから、今は逆に感謝していますが。。。。

[blue&gold02] [2004/01/08 22:57] [ MyDoblog ]
日本の文系の「象牙の塔」は何だか想像のつかない世界です。戯画化された世界だけど、「文学部只野教授」みたいなのかなとか薄ボンヤリ。
理系は何だかんだ言って、学校名に関係なく最終的には研究成果で評価される客観的な部分が残されていますからね。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2003.12.23

3月13日に注目!

 このネタ少し古いのと、かなり前に他にもネット上で取り上げているのを見かけたので、今更な気が。ただし、先月大学内でも話題になっていたので、そこら辺を含めて簡単にまとめておこう。馬鹿話ばっかりエントリーしていた気がするしね。
 
 さて、米軍は2015年を目処に地上戦闘用車両の1/3を自動操縦化する計画を立てており、それに伴う技術開発を目指して、Grand Challengeというコンテストを開催する(開発された技術は一般の自動車にも転用されるようでもある)。2004年の3月開催で、大まかなルールは
 
 ・LAからラスベガスへ400kmの砂漠のオフロードを走る車両のラリー
 
 ・車両については、遠隔操作ならびに操縦者による運転はしてはならない
 
 ・ただし、GPSによる誘導だけは可
 
 ・車両には加減速、方向転換、画像転送の機能が無ければならない
 
 ・10時間以内でゴールに到着しなければならない
 
 ・以上を満たした上で、最初に到着した車両を製作したチームには賞金100万ドル(!)を付与
 
 
 残念ながら、1次審査は11月頭に終了。今からでは参加は無理なので悪しからず。ただし、技術的にもかなりの難関であるので、1回目で優勝者が出なかった場合(完走者がいなければ優勝者も当然なし)、出るまで毎年開催されるそうだ。
 
 ここに挙げておいたホームページに参加チームの一覧が出ている。圧倒的にカリフォルニアからのチームが多いのは、やっぱり「工学と言えば」というところがあるのだろうか。大学としては、ロボット関係で世界的に有名なCarnegie Mellon大が500万ドルの資金を投入して参加。賞金より高いお金の投入ということは、もう半分意地とプライドですな。後は、ノーベル賞受賞者輩出のCal TechがNASA等の背面援護を受けて参戦。他にも幾つかの大学もチームを作って名乗りを上げており、そうしたそれぞれのチームを追っかけるドキュメンタリー・クルーも活動中のよう。
 
 いやぁエンジニアならずとも、話を聞いただけでわくわくする話だ。さて、どこが勝つのか?そもそも勝利者は現われるのか?来年3月13日に注目!
 
 
【過去のコメント】
 
[Newell] [2003/12/24 04:33] [URL] [ MyDoblog ]
これ、仲間内で参加しようかということで、結構真剣に話し合ったことがあるんです。かかる費用、必要な時間などを見積もったりして。ただし、完走できるほどの技術的見積もりがたたなくて、参加は見合わせましたが。
一次審査のニュースを見たときには、ああ参加しなくて良かったなと思ってしまいました。
でも、レースには注目しています。楽しみですね。

[blue&gold02] [2003/12/24 07:01] [ MyDoblog ]
一見そんなに難しくなさそうだけど、参加者の様子を見るとかなりの難題のようですね。日本からもチーム参加とかあれば、もっと面白いんですが。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2003.12.11

日米学校比較(1)

 たまには真面目な話も書いてみようかと思う。
 
 日本の学校と海外の学校を比較する場合、当然ながら「ある国の学校」と言っても、そこには様々なカリキュラムと環境があるわけで、一括りにして論じるのは無理があるのは承知の上だが。通常は、ある学校を片方の国で卒業した場合、留学したとしても次のクラスの学校に進学する(例えば日本の高校→米国の大学)のが一般的。自分の場合、たまたま2カ国の近い環境の日米の学校に在籍した経験があるので、何とか比較することはできるだろう。
 
 まず、「入るのは難しい、出るのは簡単」vs「入るのは簡単、出るのは難しい」。これは半分本当で半分嘘か。超難関のMBAの例を挙げるまでも無く、アメリカへ向けての世界中から押し寄せる応募者からの選考なので、「入るのが簡単」という部分は文字通りではない気がする。ただし、受験の負荷と勉強の負荷という点では正解だ。
 
 日本にいる知己と話していて「課題と試験で眠れない」と言うと、大抵ピンと来ないよう。でも、「学校に入ってから勉強させられる」というのは本当だと思う。1学期に3~4コースを取るとして、大体1コースでグループワークの課題、毎週の個人課題、2~3回の試験、分厚い参考書、が1セット。それに研究活動等が加わるので、学期中は皆赤い目をして過ごしているのが通常。自分も日本で働いていた頃の方が忙しくなかったかもしれない。家に帰っても勉強のスタートで、息抜きを除けば常に生活がオフにならないからだ。要領が悪いということがあるかもしれないが、こちらで標準と考えられる分量を日本で要求したら学生に授業をボイコットされそうだ。最近の日本の様子も変わっては来ているとは聞くが。
 
 「日本人の方が数学に関してはレベルが高い。」これも平均での議論をすれば本当。でも、上記のようにアメリカには世界各国から人が流れ込んで来ているので、大学で理工系部門にいる層を比べれば、あまり有効な議論ではない。確かに、日本の共通試験とこちらの大学院用共通試験GREを比べてみると、後者の数学は日本の中学・高校レベルなんだけど。
 
 「教員の教える意欲が違う。」これは、かなり大きい差。こちらでは、(そもそも私の周辺にいるわけではないが)、例えノーベル賞を取った教授でも普通に授業を持つ。うちの学校の教授へのインタビュー、「何故教授になったのか?」を見ていると、皆版で押したように、「研究への情熱」と「教えることへの情熱」の2つを挙げる。車の両輪といった感じ。一方、はっきり言って、日本では教授らの頭の中は8割方、研究活動のことではないだろうか。
 
 特に休講、オフィス・アワーに差が見て取れる。日本のように学期の最初は休講ということはない。いきなり授業。教授が出張の時も他の教員が必ずカバーする。オフィスアワーは授業時間外の質問タイムだが、制度的に必ず週1~2時間あり、教授も生徒が訪れるのに嫌な顔はできない。(最近の日本もシフトしてきてはいるようだ。)日本の場合、「そんな初歩的なこと、質問しに来るな」と言われそうだが、こちらでは「君らは高い学費を払っているのだから、機会を利用しなさい」「くだらない質問はあり得ない、君が疑問に思うことは、恐らく他の学生も疑問に思うことだから」と発言する教授も多い。
 
 以上を含めて、学期末にはマークシート用紙が配られて、学生が教授の評価をする。(これも日本で取り入れている学校はあるようだ。)この評価項目には、「オフィスアワー等、授業時間外での生徒に対する積極性」というのも入っている。後は、授業に使う材料に関しての評価もあり、日本のように「一度ノートを作れば、10年変わらない」老教授、「自分の研究の話で終わり」な教官というパターンはあり得ない。
 
 長くなってしまったので、他の話は回を改めて書くことにする。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

2003.12.02

珍獣を追え!!

 アメリカの大学には大抵マスコットという存在がいる。大学リーグのスポーツ・イベントになると、着ぐるみで踊っているようなアレ。
 
 例えば、MITならば「ビーバー」。これは、MIT自体が最初ダム、運河等の治水技術からスタートしたことによっているのかもしれない。まぁ、元々、初期の工学は土木・建築に始まるわけだ、古代文明を見るまでもなく。映画「踊るマハラジャ」のようなマサラ・ムービー(インド映画)が日本でブレイクする発火点になった作品に、「ラジュー出世する」というのがある。映画内では、主人公が前途洋洋たるエリートの若者。そして、イコール、土木エンエンジニア。(今のインドじゃIT技術者とかなんだろうけれど。)国の発展の初期段階では当然土木って必要不可欠な技術だから、引く手あまたでエリートってこと。その点、つい近年までゼネコンが花形であった日本について、どう考えたらよいのでしょ。
 
 話が逸れたけれど、マスコットの動物キャラはキャンパス内でちょこちょこ見ることができる。像、ポスター、生協のグッズ等々。日本でいうと、「東大のイチョウ」、「早稲田の稲穂」みたいな感じだろうか。こうやって比べてみると、日本では植物、米国では動物という違いがおもしろい。農耕民族と狩猟民族の違いがこんなところにも現れるのだろうか。

 さて、本題。ミネソタ大(工学のレベルが高い)にいる知己がいるのだが、「そっちの大学のマスコットってどんなの」という話になった。その答えは...... まぁ、写真を見てくださいよ。リス?
 

  「いや、"gopher"って言うんだけど、知ってます?」
 
 
 
 ちなみにアメリカのキャラというのは可愛くない。日本人にしてみれば、「何、その顔」という場合が往々にしてあるのだが、コイツもかなりのもんである。
 
 
 
 
 gopher2.jpg
 
 
 
 西海岸の人間に聞いてみる。存在自体は知っているようだが、説明はこんな感じ。
 
 
 
  「あぁ、gopherね。リスみたいな、プレーリードッグみたいな、ネズミみたいな、モグラみたいな~~」
 
 
どないやねん。とりあえず、家の周りにはいないようだ。辞書によると、日本語呼称では「ホリネズミ」「ジリス」「アナホリガメ」だそう。要は、"poket gopher"、"ground squirrel"、"gopher tortoise"の総称。穴を掘るらしいということしか分からん。ネットで写真を探してみると、う~ん、確かに実物も微妙。
 
 インターネット黎明期(ブラウザ=Mosaicとかの頃、懐かしい!)にどうやら、検索ソフトに"gopher"というのがあったらしくて、日本人でも「ゴーファー」、知っている人いました。そのソフト自体もミネソタ大の開発で、"go far"にかけた命名ということらしい。実際にミネソタに行ったときに、隣の州まで長距離横断ドライブをしたのだが、その際、道端に1~2マイル(2~3km)おきに動物の死骸が。最初ビックリしたけど、その内慣れて
 
 
 「スカンク ~ リス ~ うさぎ ~ あ、鹿だ、ヒクヒクいってるね。」
 

という感じだったが、死骸にしろ実物gopherには会えませんでした。しかし、なんでこんな動物選んだんでしょうね。

| | Comments (1) | TrackBack (0)

2003.11.24

アメリカン・ジョークと学生生活

 キャンパス周辺では無料の新聞・雑誌発行が盛んで、工学系だけでも、それぞれタイトルの違う週刊の新聞、月刊・隔月・季刊の冊子が配られている。一般の新聞形式でも2~3あるし、その他、ビジネス・スクール発行のもの等々きりがない。
 
 その一つの工学系新聞に、穴埋めのジョークが載っていたので、ちょっと訳してみる。
 
 
 ~エンジニアとカエル~
 
 ある日、少年が道を横切っていると、カエルに出くわしました。カエルが言うことには
 
 「私は美しいお姫様なの、キスしてくれたら人間に戻れるわ。」
 
 少年はカエルをポケットにしまってしまいました。カエルは言いました。
 
 「キスしてくれたら、人間に戻ってあなたの傍に1週間いてあげるわよ。」
 
 少年はカエルをポケットから出すと、笑いながら、またしまい込んでしまいました。カエルは叫び出します。
 
 「キスして人間に戻してくれたら、何でもあなたのしたいことを何でもしてあげるわよ。」
 
 それでも、少年はカエルをポケットから出してニコニコすると、またしまい込んでしまいました。
 
 「何でなのよ!私は美人のお姫様で、1週間あなたの傍にいて、したいことを何でもしてあげるって言ってるのよ!何でキスしてくれないの!」
 
 少年は言いました。
 
 「僕の専攻は工学だから、ガールフレンドと過ごす時間なんてありゃしないのさ。でも、喋るカエルってクールだよね。」
 
 ~完~
 
 
 punchline(オチ)は4つでしょうか。
 
1. 普通の人と価値観が違う、工学部生のGeek(変人、オタク、気持ち悪い奴)ぶり。
 
2. 自虐的(おそらくジョーク考えたのは工学部の学生でしょ)に、勉強に追われる学生生活を揶揄。
 
3. 思い上がったお姫様の鼻を見事にへし折ってみせる。
 
4. 古典的な童話のパロディ。


【過去のコメント】

[えり] [2003/11/23 08:06] [ MyDoblog ]
笑いました。
やはりジョークにもアメリカの雰囲気ががします。
普通のはもっと明るいのが多い気がしますが、やはりそれは工学部のジョークだからでしょう・・・。

[blue&gold02] [2003/11/24 00:47] [ MyDoblog ]
ドイツのジョークって、どうなんでしょう?クラスメートだったドイツ人は、やっぱりドイツのイメージ通りのき真面目な女の子でした。それだけに一度だけ、いきなり「ハイ、私、ブリトニー」と言って、真似をし出したのが大うけでしたが。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

2003.11.22

学生と自殺

 前回、Kurt Cobainの話とかを書いていたら、学生オフィスから鬱を乗り切るためのワークショップとやらの案内が来ていた。
 
 数ヶ月前ぐらいに日本での自殺者の年間統計が報道されて、その余りの数にギョッとしたものだけど、内にためやすく、まじめに悩みやすい国民性みたいなものもあるのかと思う。一方で、アメリカの大学でも自殺は決して縁のない話ではない。勉強量も並みではないし、学部生はその他課外活動と、3・4年生になったら研究プロジェクトに幾つか参加するぐらいの積極性が要求される。そうした全てと成績が就職のために必要で、卒業校のランクも含めて、ある意味かなりの学歴社会でもあるわけなのです。一般的なイメージと少し違うけれど。
 
 ということで、卒業できない&首席になる、の2つを除いてしまえば、大学での成績はあんまり関係ない日本と違って、学生は良い成績、華々しい課外活動歴を残そうとある意味必死。そうした競争社会の中で、やっぱり心の悩みをかかえてしまう学生も多いよう。
 
 大学の4年をどう過ごすべきか、まじめに研究したハーバード大教育学部の教授の指南書
 
 今いる大学でも、昨年春学期の終わりに立て続けに2人の学生が同じ建物の屋上から飛び降りて話題になったりした。後は、孤独に耐えられなくなるのか、留学生寮で定期的に首吊り自殺がある。確かにキャンパス周辺を見ていると、皆、休みも含めて本にかじりつくかグループワークのミーティングに明け暮れてる。図書館のソファは徹夜明けの学生がアシカのようにゴロゴロしているし。日本の学生も、追い込まれない程度には、もう少し勉強した方がよいのかもしれないけれど。


【過去のコメント】

[えり] [2003/11/22 01:09] [ MyDoblog ]
日本人は心配性の遺伝子が98%の人に含まれているそう。対してアメリカ人は20%程度だそう。うろ覚えですが、誰かのDOBLOGに在りました。
国民性の違いでしょうかね。自殺も。暗い話題も。

[blue&gold02] [2003/11/23 01:56] [ MyDoblog ]
遺伝子ですか... 単純に考えて、5:1だと日本人は分が悪いですね。勤勉さもDNAの上の情報に載っているのだろうか。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

2003.11.21

学生割引でオペラ

 今晩はオペラを観に行ってきた。おかげで明日までの課題を終えるために徹夜。まぁ自業自得。
 
 アメリカで最も格の高いオペラ劇団といえば、NYのメトロポリタン。観に行ったサンフランシスコ・オペラはそのすぐ後に次ぐクラスかな。一流と言えましょう。劇場自体は2次大戦で日本がSF講和条約を結んだ舞台ということで、こじんまりして綺麗に改装されているものの歴史を感じさせる建物となっております。
 
 欧米での学生割引の威力はすごく、今回のチケットも2番目にいい席ながら、$30~40ぐらい。日本では考えられない値段ですな。やっぱりご老体の客が多いので、学生の内にファンになってもらい、稼ぐようになった若い層を取り込もうという腹だろうけど。貧乏学生にとっても劇団にとっても得になる戦略なので、ぜひ日本でも実施してもらいたいもの。土建のために箱物だけに金をかけてきた日本ではまだまだ無理なのかな。
 
 シーズンで最低3回がセットなので、モーツァルトの「魔笛」、ロッシーニの「セビリアの理髪師」、ベルディの「ドン・カルロス」を観たけれど、「セビリアの理髪師」が最高だった。建築家でもあるらしい演出家により、1軒家が舞台の上に建ち、それを360度回転させて情景を変える回り舞台式。設定を現代に移して、舞台上を理髪師のべスパが走り回り、舞台の袖に工事現場が作ってある等々、かなり斬新。劇進行中にべスパは分解されて、また組み立てられるし、歌わない役者が何人も登場するという破天荒さは、かなり観客にも受けてた。一流の舞台は舞台装置と演出を見るだけでも、理系ピープルの興味を引くのでは。

| | Comments (0) | TrackBack (1)